土地の向きによる家づくりのメリット・デメリット ~南編~

前回・前々回の続きで今回お話しするのは南向きの土地について。

 

南向きの土地は一般的に最も人気がある土地であり、かつ最も資産価値が高い土地である

と考えられています。

 

その理由は、

・居住スペースに採光を確保しやすい

・間取りの自由度が高い

・道路から人目につきやすく防犯性が高い

・開放的な外観にしやすい

このように考えられているからなのですが、これらのメリットは、

南向きの土地を購入した全ての方に確実にもたらされるものなのでしょうか?

 

各メリットについて考えてみましょう。

 

居住スペースに最高を確保しやすい?

南向きの土地に建つ家の多くは、その恩恵を享受するために、

基本的に南側に居室を配置し、それぞれの部屋に大きな窓をつくっています。

これらは一見、南からの採光を確保しているように思いますが、

その窓をカーテンで閉め切らざるを得ません。

外からの視線が気になるからです。

また、直射日光が入ってくる場所が増えれば、家の中が暑くなりやすいし、

テレビに光が反射して見にくくなってしまったり、紫外線で床や家具が焼けやすくなってしまいます。

 

こういった理由も合わさって余計にカーテンを閉め切ったままにせざるを得なくなります。

結果、逆に家の中が薄暗くなってしまいます。

 

間取りの自由度は本当に高い?

これは、居住スペースを南に確保しやすいからですが、逆に

南に居住スペースを配置し、かつ南に配置した部屋の南面には

大きな窓を設置することを前提として間取りを決めていってしまいます。

 

つまり、南向きの土地を買った時点で、自ずとある程度間取りが決まってしまうことになります。

そう考えると、間取りの自由度も決して高いとは言えないと思いませんか?

 

防犯性は高くなるのか?

南向きの土地は南側に居住スペースをつくり、かつその南に大きな窓がある家が建つことから、

ある意味、防犯性が高い家が出来上がります。

外から家の中が丸見えになるオープンな家になるからです。

 

しかし、こういったお家は、窓を見ただけで家の間取りが分かってしまうし、

灯りをつけたままで寝るようにしないと、夜どの部屋を使っていて、どの部屋を使っていないかが、

簡単に分かってしまいます。

 

プライバシーを確保するために目隠しや塀などを庭につくってしまうと、

せっかく丸見えになっていた庭を閉じてしまうことになり、逆に防犯性が悪くなってしまいます。

 

それゆえ、防犯性の高さを維持するためには、プライバシーを犠牲にし続ける覚悟が必要となるか、

あるいは常時カーテンが閉まったままの薄暗い家に住み続ける覚悟が必要となる、

そして、どの部屋も夜ずっと電気をつけたまま暮らすようにしなければいけない、

というわけですね。

 

開放的な外観ってどういうこと?

空を眺めることが出来、家の中から庭や緑を眺めることが出来、

かつ視覚的に空間の広がりが感じられる開放感たっぷりの室内をつくることが出来れば、

毎日をとっても心地よく過ごしていただけると思います。

 

しかし、この空間をつくることと、外観が開放的であることは一切関係がありません。

外観を開放的につくればつくるほど、外からの視線を防ぐためにカーテンが必要となり、

家の中が薄暗くなってしまうからです。

 

それゆえ、空や外を見ることが出来るようにするためには、

そもそもカーテンが必要のない窓をつくらないといけないのですが、

実は、それをするのが一番難しいのがこの南向きの土地です。

 

こういった点も冷静に考えていただき、土地選びを行うようにしていただければと思います。

 

個人的には、南向きの土地が必ずしも一番いいわけではないと思います。

最も高い価格で購入したにもかかわらず、最も住みにくい家をつくってしまうかもしれませんから・・・

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